あけましておめでとうございます。年末年始忙しさにかまけてブログの更新をさぼっておりました。さて2025年。今日はコーヒーの味に深くかかわる精選方法。それも最近増えてきた精選方法について少しお話したいと思います。
コーヒーの味わいは産地や銘柄により様々ですが、産地や銘柄の他に「精選方法」というのも味と香りに関わる重要な要素なのです。「精選」とは、コーヒーの実から種を取り出して、それをコーヒー豆に仕立てるまでのやり方のことを言います。銘柄により精選方法が決まっていると思われているふしがあり、これまで「精選方法」が脚光を浴びることは少なかったように思います。コーヒーは「産地」や「銘柄」だけが、味に関与していると理解されている為ではないかと思います。更には銘柄で精選方法は決まっているものと考えられているからだと思います。昔からコロンビアと言えば、味わいは香ばしく、苦味酸味のバランスが良いというのが通説で、特に精選方法に触れなくてもコロンビアと言えば、「ウォッシュド」だと理解されている為ではないかと思います。
一方で生産者側は今以上の需要を掘り起こそうと工夫を重ね、様々な精選方法を考案しています。ウォッシュド精選でないコロンビアというのも結構あって、ナチュラル精選やアナエロビック精選のコロンビアは、これまでのコロンビアに無いような、フルーツや花のような甘い香りがして、更にコロンビアの味わいというものがあります。当店にコロンビアオークバレルという銘柄がありますが、これは密閉したオーク樽に酸素の少ない環境を作り、その中で酵母にアルコール発酵を行わせ、コーヒーチェリーの果肉を分解させて、種(コーヒー豆)を取出すという方法が使われています。小難しく聞こえますが、コーヒーチェリーの果肉の発酵により、豆に複雑な甘い香りが付くというもので、このコーヒー豆はラム酒のような香りがします。厳密な定義は無いのですが、酸素の少ない環境を好む酵母を使って発酵させて種を取り出すやり方を嫌気発酵、または、アナエロビックファーメンテーションなどと言ったりします。嫌気発酵って漢字で言われてもわからんし、横文字でももっとわからんし。まずは一度お試し下さい。
また更にこれは厳密に言うとこれは精選方法ではないのですが、「加工プロセス」と言った方が正しいかもしれませんが、「インフューズドコーヒー」、別名「インフュージョン」と言うのが、最近出回り始めています。これはコーヒー豆をコーヒー以外の、そのコーヒー由来以外の全く別のシロップや果実に漬け込んでフレーバーを移したものを言い、パッションフルーツやライチ、バナナと言ったフルーツや、シナモン、ハーブ、スパイスなどで漬け込んだものがあり、これを「インフューズドコーヒー(インフュージョン)」などと言ったりします。まだまだ流通量は少ないですが、最近ちょくちょく入荷情報に遭遇します。業界でもまだ評価が定まっていない印象ですが、当店で扱う際にはインフューズドであること明示し、ご理解いただいた上で販売するよう徹底したいと考えます。堅苦しく考える必要は無いのかもしれませんが、これまでコーヒーと言えば、作物のコーヒー由来の物をコーヒーと呼んでいましたので、それ以外の物はやはりユーザーが誤認しない形で販売せねばならないと考えています。新しい商品ですので、保存性など未知数の部分もあり、判断が難しいというのが率直なところです。例えば、ワインの世界では、そのような商品はフレーバーワインとして一般のワインと区別され、有名所で言えば、キールやべルモット、サングリアという名称で食前酒として親しまれています。今後このインフューズド、インフュージョンがコーヒー業界にどのような影響を与えるのかは分かりませんが、最新情報については都度ご報告させて頂きます。
さて年が明け、そろそろ春が待ち遠しく、春を目がけてまた、美味しいコーヒーをご提案させて頂きますので、どうぞご期待ください。引き続きよろしくお願い申し上げます。