日に日に暖かさを増し、木々に新芽が出始め、ツバメも巣作りを始め、軽やかな風が心地良い季節になりました。今まで色々な場所に住みましたが、大阪は自然にも恵まれ、人々は情愛にあふれ、大変良い所だと思います。気候も特段寒い訳でもなく、暑さも全国的に見れば、むしろ冷涼で雨も適度に降り、風は穏やかで、大阪は住みやすい場所だと思います。全国に進出した大阪の芸人さんたちが、地元のことを面白おかしく言うから他所から色んな面で誤解されているなと思います。
さてここのところアメリカの関税や米の価格など暗い話題が相次いでいます。お客様からもコーヒーの値上げについての問い合わせを多く頂いています。この件についてネットにも我々が読んでも納得の行くような記事が少ないので、少しだけぶっちゃけてお話します。
コーヒーは農作物なので、病虫害や天候不順で不作になれば、収穫量が減り、値段が上がります。あるいは、豊作であっても極端に需要が増えれば、値段も一気に上がります。昨今の値上がりの原因は、南米を初めとする産地の天候不順と、アジア(中国・タイなど)でのコーヒー需要の増加が大きな要因です。更にこの値上がりに目を付けた投資ファンドがコーヒーの先物取引に資金を投じている為に更に値段が上がるという構図になっています。
コーヒーの価格は先物取引で決められますが、そこで扱われるコーヒーをコモディティと呼びます。全ての銘柄が先物取引にかけられる訳ではなく、コモディティ以外の、例えば、コモディティより上質なプレミアムやスペシャルティと呼ばれるコーヒーは、先物価格を目安に農園や輸出入業者間の商談で価格が決定されます。
またコーヒーには、アラビカ種とロブスタ種という種類があって、当店で販売するシングルコーヒーは全てアラビカ種ですが、インスタントコーヒーや缶コーヒーにはロブスタ種が多く使用されています。ロブスタ種の生産によりベトナムは、世界第2位のコーヒー生産国なのですが、当店ではベトナム産の扱いはありません。ロブスタ種は、病害虫に強く、低地でも栽培が可能な為、安定的に生産されています。ロブスタ種の味は、苦みと渋みが強く酸味も無いため単体では好まれないというのが一般的な評価ですが、カフェインの含有量が高く、苦味が強い為、他の豆とブレンドして多く使われます。これもまた激しく値上がりしています。ブラジルではアラビカ種とロブスタ種両方が生産されています。

ケニアAB
ケニアはアフリカの代表的銘柄です。当店でもファンが多く、クリアな苦味と酸味に定評があります。焙煎はミディアムからフルシティがおすすめです。産地はアフリカ大陸の東部の赤道直下にあり、偉大なるケニア山を中心に広がる赤土がケニア独特のインパクトのある香味を生み出しています。肥沃な火山性土壌はキクユと呼ばれ、コーヒーに芳醇な酸味と甘みをもたらす役割を果たしています。柑橘系のきれいな酸味にシルキーなボディが特徴と言われています。こちらの価格は、現状据え置きです。
これらの要因に加え、円安、輸送費、人件費の高騰が日本での末端価格を押し上げているというのが真相だと思います。先物価格に強く影響を受けるコモディティは、ガテマラSHB、ブラジルサントスNo.2、コロンビアスプレモ、マンデリンG1、モカレケンプティ、ケニアABなどですが、これらは今後も高騰が予想されます。相場が落ち着けば値下げもあり得ますが、予断を許さない状況にあります。一方でプレミアムやスペシャルティと呼ばれるコーヒーは、商談した時の価格が継続するので、過去に商談され、継続的に扱われている銘柄は、しばらくは価格の変動が無い為、値上げされたコモディティが、これらの価格を上回るケースが出て来ています。プレミアムやスペシャルティは、次のクロップに切り替わるまで値段は据え置かれるので、商社や問屋が確保している分や当店の在庫の価格は変更されません。秋に出て来る新物、ニュークロップまでは現在の価格というものが多いようです。グレードの高い銘柄より高い価格でグレードの低い銘柄を販売する理由はありませんので、一部取り扱いをやめていますので、詳しくは店頭でご確認ください。

ブラジルサンマリノ18M
モジアナ、セラード、スルデミナス地区などから集められた豆を使用。赤く完熟したチェリーを摘み取らずそのまま樹上で完熟させる独特な栽培方法。樹上でゆっくりと乾燥されるうちに甘味が凝縮され、ブラジルらしい甘味を持つコーヒーに仕上がります。未熟豆や欠点豆を取り除くために水洗いし、熟成した豆だけを取り出し、乾燥。更に大粒な豆を選り分け、ブラジルサンマリノとして出荷されます。今ある在庫分は、現在の価格のままとなります。
当店は2022年の7月に開店しましたので、間もなく丸3年を迎えます。皆様のご支援で、何とかやって参りましたので、頂戴しましたご恩に報いるよう、今後益々努力してまいりますので、ご期待ください。
