コーヒー業界では一番直近に入荷した分を「新豆」と言ったりします。コーヒーの生豆は時間が経っても著しく劣化する訳ではないというのが定説で、新豆か否かはあまり取り沙汰されません。確かに焙煎後の劣化の程度の方がはるかに顕著ですから、そちらの方が大きな問題だからかもしれません。生豆は産地からの輸送にも時間が掛かりますし、コーヒーチェリーから生豆になる過程も時間が掛かるので、「新鮮」というのはどのくらい、「劣化」とはどれくらい、というのは難しいのかもしれません。

2025年春の入港分です。ブラジルのミナスジェライス州アンジェランディアという所のビスタアレグレという農園のブラジルパイナップルハニーナチュラルです。長々、あーそうですか。まあブラジルです。酸味があって、甘酸っぱいパイナップルのような香りと、はちみつのようなぐっとくる甘い香り。うっとりするような甘い香りで、気分が落ち着きます。限定入荷です。お早めにお求めください。
コーヒーの言い方として、“カレントクロップ” ”ニュークロップ” ”パストクロップ” ”オールドクロップ”というのがあります。クロップというのは、「実」とか「収穫物」という意味で、新物をニュークロップ、現行をカレントクロップ、ニュークロップが出るとカレントクロップはパストクロップとなり、パストクロップはオールドクロップになります。私はだいぶオールドクロップ...ニュークロップやパストクロップが必ずしも良い訳はでなく、オールドクロップの方が評価される銘柄もあります。ただフルーティな香りの豆は、時間が経つと香りは減るそうです。銘柄にもよりますが、やたらに古いものは、香ばしい感じのコーン茶のような香りだけになり、味も薄く感じられるようになります。古い豆はコーヒー独特の酸味や苦み、香りなどの味わいに奥行きが無くなります。これはコーヒー豆が持つ水分が関係しているそうで、長期間の保管は乾燥により水分が飛んで味わいが薄くなるのだそうです。当店はできるだけ美味しい状態の豆をおすすめするようにしています。

2026年夏の入港分です。ラオス北部のルアンパバーン県は、メコン川流域に位置し、標高約500〜1,800メートルと地域によって差こそあれ、山岳丘陵地帯です。コーヒー業界では未開の地ラオス。国連WFPと共に取り組んでいる「コーヒージャパンプロジェクト」の対象村を含むルアンパバーン県で生産されたコーヒーです。昨年よりも甘さが増し、小さくて白いコーヒーの花の可憐さを連想させる印象。酸味は穏やかで甘さとのバランスが良く、ほどよく調和のとれた味わいです。少量の限定入荷です。
当店は商社様や問屋様から仕入れを行っています。コーヒー豆は船舶輸送ですので、現地から少なくとも2~3ヶ月はかかります。その時点でまあまあの時間が経っている訳ですが、だからと言って数年前の豆は味と香りがやはり良くありませんので、良いタイミングの豆を見極めてお届けしたいと考えています。厳密に管理されている取引先を見定めていきたいと考えています。
売る側の理屈からすると収穫年度や入港年度を明示するのは、都合が良くない側面もあります。そこに甘えずに当店では、適切なタイミングの豆をご案内していきたいと考えます。